高等教育を活性化する大石加奈子のコミュニケーションスキル教育

「話し合いのスキル」「人間力」「社会人基礎力」「問題解決力」の育成

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成果報告2010

インターンシップで役立てました

 私は8月1日~8月6日にかけ、富士通株式会社のインターンシップに参加しました。インターンシップはワークショップ型インターンシップで、「ITソリューション」について学びました。全国から集まった高専生のみで行われ、1班6人で行われました。

 8月1日はまず2分間自己紹介をし、その後に2分間自分の右隣の人の紹介をし、社会人基礎力について学びました。自己紹介では2分間必ず話さなければいけなく、なかなか大変でした。

 8月2日はキックオフ、QCD、PDCAについて学びました。キックオフとは1日の始まりにその日の目標を立てることです。目標を立てることで自分が何を意識して行動していかなければならないかが明確になり、より内容の濃い活動を行うことができました。QCDとは「Quality:品質 Cost:費用 Delivery:納期」の略称、PDCAは「Plan:計画 Do:実施 Check:監視 Action:改善」の略称である。PDCAはループになっていて、何事にも当てはまる内容である。

 8月3日~6日はソリューション演習について実際に行うことで学びました。ただし、全部をやるのではなく企画と提案のみを行いました。行った内容は文学特論で行っていることとほぼ同じでしたが、「全く知らない人と、1日中、ヒントなどは一切なし」という点がとても大変でした。ただ漠然とした課題のみを与えられてそれを解決するためのプレゼンテーションを行う、という最終目標に向け班でファシリテーションをしました。授業と同じように役割を分担し、目標を達成するために頑張りました。他の高専では文学特論のような授業がないらしく、私がどのような役割が必要か、どのような流れで進めていくのかを説明したりしました。またファシリテーターを務め、スムーズに進行させるよう努力しました。そこで他の人よりもファシリテーション能力があることにソリューション演習の中で気づき、冷静に班員をまとめることができました。ファシリテーションを活かすことでソリューション演習をスムーズに進めることができましたが、人それぞれ異なった意見を持っていて、それらの意見をまとまることの難しさ、自己主張が苦手な人に意見を促すことの難しさ、与えられた課題から本質的な課題を見つけることの重要さを身をもって学びました。また周りの反応としては、ファシリテーターとして私を頼っていてくれたような気がしました。ソリューション演習を通して、徐々に班員にファシリテーション能力が身についたおかげか、ファシリテーション中に話が脇道に逸れなくなる、1人1人が他人の意見を取り入れつつ、自分の意見を主張することができるようになる、情報の共有が確実に行える、などの良い変化がありました。

下に行ったソリューション演習の流れを簡潔に図示する。

 文学特論の授業で少しずつファシリテーション能力を身に着けていたおかげで、班をまとめ、ソリューション演習をスムーズに進行させて良いプレゼンテーションの資料を作ることができた。また発表では、要所要所を締め、限られた時間の中で伝えたいことを上手に伝えることができました。その結果、11班中3位と好成績を残すことができ、また個人的にも褒めていただくことができました。  今回のインターンシップで社会に出てからのファシリテーション能力の重要さ、1つの課題にもさまざまなアプローチの仕方があること、自分と同じ人間はいないが、変わりならたくさんいること、今の自分に足りない点を学ぶことができました。今回学んだことをこれからの学校生活や日常生活に上手に生かしていき、よりよい日々を過ごし、より一層自己の向上に努めていきたいと思いました。

創造設計で合意形成に役立てました

 私たちは現在、創造設計という授業で、グループで協力し一つの音楽に関する製品を作り上げていくということを行っています。そこで、ファシリテーションスキルを初めて活用した4月30日の創造設計の会議のことをまとめたいと思います。

 私たちは最初に話しやすい場になるように、今までどのようなバイトを行ってきたのかなど身近な話で雰囲気をつくりました。

 次に会議をより良く進めるにあたってのルールを定めました。

  ・メモを取る
  ・態度をはっきりする
  ・話が脱線しても戻る

そして、重要な会議の目標は次のものです。

  この1年間で何を作っていくのかをアイディアを出し合い決める

 そこで、どのような製品を作りたいのか意見を出していくことにしました。この時には反対の意見を出さないで多くの意見を出すようにしました。また、意見が出たらその製品のターゲットは誰かなど話し合いました。実際に出た意見が次の下の表になります。

 上記で出た意見から、既存する製品はあるのかどうか話し合いを先に行い、ある製品に対してはこの時点で除外することに決めました。残ったアイディアの製品は実現可能なのか、予算は平気なのかなど、ここで一つ一つの案に対して意見を出し合いました。この時に、文学特論の授業で習ったばかりの技術を活用しました。以下の表が実際に会議で行われたものです。

 上記の表のように意見を出し合いましたが、ここからアイディアを一つにまとめる必要があります。そこで、製品を作るにおいて、ハード面とソフト面に分かれて作業を行っていきます。作業を進めるにあたって、技術的な面で大変でないかなどを考えまし た。この時には、自分たちが興味のないものを作っても面白くないということから「入店時の音」は除外しました。実際に表にしたものが下のものになります。

 これらの話し合いより、ミニ防音室がどれも好評でしたが、この授業では、1年をかけて、製品作り上げていくということがポイントになり、作って楽しいものをやりたいという意見が出ました。また、音楽の製品ならば楽器を作ってみたいという意見もあり ました。ソフト面で難しいという意見が出ましたが、ソフトを担当するメンバーがやりがいがあるのでぜひやってみたいと言ってくれましたので、「演奏器」を作ろうということになりました。ここでは、水にこだわらなくてもほかの自然現象を用いても面白いのではないかとなり、今回の会議では「演奏器」にとどめとくことにしました。

[所感]
  まだ、この会議を行ったのはGW前で文学特論も少ししか行っていません。しかし、少しのファシリテーションスキルで会議の目標としていたどのような製品を作るのかをほぼ決めることができました。ただ、製品を決めることは誰かが強引に決めたりすれば簡単かもしれません。しかし、ファシリテーションを生かすことによって、全員で意見を出し合えました。また、全員が納得できる製品を決めることができました。とても有意義な会議することができました。今では、もっと多くのファシリテーションスキルを身に着けたので、さらにより良い会議にすることができると思います。GW前の内容ですが、この時の会議ルールのメモを取るということがとても役に立ったと思います。

寮生会議で役立てました

  私は現在沼津高専学生寮に住んでおり、風紀長という役職に就いています。風紀とは、寮生の生活態度を取り締まる役職で、各棟に配置されています。風紀長は、その各棟風紀をまとめる長です。風紀では、不定期で風紀部会という会合を開き、寮内の様子や規則に関して話し合いを行います。必然的に、風紀長はその話し合いの司会進行役を行います。

  先日、「寮食堂へのふりかけの持ち込みについて」という議題で話し合いを行いました。この議題は、昨年度より寮食堂へのふりかけ類の持ち込みを禁止していましたが、今年度の寮生活もひと段落したということで、持ち込みの許可を検討するためにあげられました。

  こうして、話し合いを行ったのですが、まず議題の前に私が驚いたことは、アイスブレイクの効果の大きさです。文学特論のみではなく、2年生の時の国語の授業でも、大石先生は授業の始めにアイスブレイクを行っていました。アイスブレイクは授業とは全く違うテーマで気楽に行え、その分私は軽視していました。しかし、実際に話し合いの前に、軽いアイスブレイクのようなものを行ってみたところ、その効果は絶大なものでした。同じ寮生とはいえ、各棟風紀は普段は別々に暮らしているため、多少緊張している様子でしたが、アイスブレイク後は一気に打ち解け、その後はよい雰囲気で、話し合いを進める立場としては非常に楽に司会進行をすることができました。

  さて、実際に話し合いを行う上で、いくつか注意する点がありました。その中でも私が重視したことは、ホワイトボードを使用するということです。基本的なことですが、大切なことでもあるということを学びました。あげられた意見を記入することで、全員が確認することができ、話の内容が逸れてしまったときも簡単に修正できます。ホワイトボードに記入したことは、議題、現状、解決策、結論です。まず、議題はすでに与えられた「寮食堂へのふりかけの持ち込みについて」です。現状は、寮食堂の使い方に関してや寮食堂に関わらず寮内の様子など、問題点をあげました。解決策は問題点に対する解決策があればあげます。今回はあくまでも寮食堂へのふりかけの持ち込みをどうするか、ということが結論となるので、必ずしも解決策をあげることはしませんでした。そして、結論は話し合いの結論を記入します。結論は1つとは限らず、いくつかの案をあげてから一つの結論に決定しました。実際に書いた様子を図.1に示します。ホワイトボードに書くことによって、より円滑に話し合いを進めることができたと思います。反省点として、なるべく簡潔に書くことで見やすいホワイトボードにすることを心がけたのですが、あげられた意見がたくさんあり、少々見にくくなってしまいました。この反省を、次回以降にいかしていきたいと思いました。


図.1 ホワイトボード

  他に気をつけたことは、より多くの意見を受け入れることです。私は昨年度秀峰寮棟風紀を務め、同じようにいくつかの話し合いに参加してきました。しかし、風紀の話し合いということもあり、緊張した雰囲気でさほど多くの意見が出ませんでした。今年はその教訓をいかそうと、参加者が意見を出しやすい雰囲気にすることを第一に心がけました。それが、最初にも述べたアイスブレイクです。アイスブレイクをすることで、参加者に肩の力を抜いて、気軽に参加してもらえたと思います。また、あげられた意見に自分なりの意見を添えたり、相づちをうったりして、より意見を膨らめようとしたほか、冗談混じりの意見でもしっかりと取り入れることで、より意見を言いやすい雰囲気になったと思います。その結果、前年度とは比べ物にもならないほどの量の意見が出ました。また、司会をやって思ったことは、このように明るい雰囲気で話し合いを行った方が、司会をする立場としても楽しいということです。

  最後に結論のまとめをしました。結論は、出された意見の中から案をまとめ、場合によっては多数決を行いましたが、そこでも意見を出してもらい、参加者全員が納得できるような結論にしました。余談ですが、この結論は、本部部会を通して採用・施行されることになりました。

  ファシリテーションを活かした話し合いをすることで、先ほども述べたように、前年度よりも充実した話し合いをすることができました。前年度の話し合いが悪かったというわけではありませんが、今回はそれ以上に得たものが多かったと思います。今回の話し合いは成功と言えるでしょう。今後も話し合いを行う機会があると思うので、今回のようにファシリテーションスキルを活かして充実した話し合いにしていきたいです。

インターンシップで社内会議をまとめました

 私は平成22年8月23日から27日の間、インターンシップに行きました。
実習先は工場なので現場作業が多かったのですが、初日に朝礼兼ミーティングがありました。この日の話し合い内容は「社会の経済動向と黒字を増やすためにはどうしたらよいか」でした。私も参加させていただくことになり、半年間の知識を生かそうと思い頑張りました。

 以下、話し合いの流れと私の行動を報告します。


 社長が進行役、社長の秘書が書記と決まったところで自己紹介をすることになりました。そこで、初めて会う人とこれから話し合いをするので雑談を交えつつ自己紹介をしました。

 沼津高専の学校生活に興味を持ってくれて、場の雰囲気がよくなりました。そして、雑談の中に政治の話を含めたことで、社会の経済動向について話を向けることに成功しました。

             

2.png

 話し合いの導入として、自分が知っている限りの社会の状態を一人一人あげることになりました。左図に挙げた三点は、特に多く出た意見です。

 私は常にメモを取ることを心がけ、いつでも意見をまとめられるようにしました。その姿を認められて、話の途中で頭の中が整理できていない方に説明することができました。

 私は社員ではないので、深く話し合いには参加しませんでしたが、現在の赤字部分をどう減らし、黒字にもっていくかについて議論がありました。
「円高の影響で、輸出は控えること。」
上に挙げたことは、みなさんが考えていたことですが、社長は違いました。
「外国産の車がエコカー補助金や減税に応じて売り上げを伸ばしている。そこで、あえて製品を外国企業にまわし売り上げを伸ばす。」とおっしゃいました。
これにはやはり、賛否両論あり話がなかなかまとまりませんでしたが、私も意見を述べる時があったので、うまくまとめてみました。


「つまり、現在よりも多くの製品を海外生産のある会社にまわし、売り上げをのばしている企業に目を向ける」ということですね。
これによって社長が補足をし、全員が納得する結論を得ることができました。


 ここでこのような対応が出来たのは、文学特論でのファシリテーションスキルを身に付ける授業において、話し合いの論点を整理し、まとめる訓練をしたからです。
社長のおっしゃった言葉をその会議にいた全員が同じ目線で見ることはなかなかできません。
なぜならとらえ方が違い、そこで新たな論争になってしまいます。新たな論争が生まれると、みんなそちらに集中してしまい、話し合いの議題から大幅にずれてしまいます。
だから私は、常に頭の中、もしくはメモ帳に、誰かの発言を整理し、意見を求められた時には、その時点で何が論点になっていて、議題からどれだけ離れてしまっているのかをすぐに言えるようにしました。もちろんその間、自分の意見も言えるようにしていました。
初めて行った会社で、まわりの人たちにも慣れていない中で、ここまでできてよかったと思います。

創造設計で活用しました

 私は、習得したファシリテーションスキルを、創造設計という授業で活用しました。創造設計とは、学生だけで6人ほどの班を構成し、自らが考えた独自性のある製品を製作するという授業です。私は、創造設計の班のリーダー役を担当しています。リーダー役ということで、私が、班員全員で行う会議のファシリテータをやることになるのですが、その際、習得したファシリテーションスキルを活用しました。

 私は、班員全員が発言しやすくなるように、会議を工夫しました。創造設計でまず行わなければならないことは、製作する製品を考えることです。つまり、集めたい意見は、自分達がこれから製作する製品の案でした。しかし、私は、いきなり製品案を出すように班員に問いかけても、製品案は出にくいだろうと考えました。なぜならば、先生から与えられた要求が、「楽器に関する製品」というテーマだけであり、あまりにも漠然としすぎていたからです。ここでのファシリテータの仕事は、話しやすい雰囲気を作るということであると、授業で学びました。しかし、私は、普通に会議を進めても話しやすい雰囲気は作れないと思ったため、会議の進行方法を工夫しました。

 私が工夫した点は、二つのことを同時に進行したという点です。「どのような製品を製作するか」という議題と、「楽器に関するマインドマップを製作する」という二つのことを、同時に進行しました。班員から良い意見を引き出すには、まず、班員一人一人が考えているちょっとしたことを、班員全員で共有する必要があると考えました。なぜならば、班員一人一人が他の班員の意見を聞くことで、より柔軟な発想が生まれると考えたからです。班員の考えていることを引き出す手段としては、マインドマップという手段を用いました。マインドマップによって楽器に対する班員の意見や知識を班員全員で共有しながら、製品案を考えていきました。

 ホワイトボードは、中央に線を引いて半分にして活用しました。右側に楽器に関するマインドマップを製作し、左側に、思いついた製品を書き並べました。両方の議題の会議の内容が同時に確認できるように、ホワイトボード一枚に会議の内容の全てをまとめました。


図1 ホワイトボードの使用方法


 マインドマップは、「楽器」というキーワードを中心に製作していきました。繋げていく内容は、特に指定せず、各ワードに関係するものならば何でも良いことにしました。楽器の種類、各楽器の良いところと悪いところ、値段、演奏方法など、自由にワードを繋げてマインドマップを作成しました。


図2 製作したマインドマップの例


 会議はマインドマップの製作を中心に進行しました。ここでは、誰かの発言を批判や評価することを禁止とし、正しい意見を集めるのではなく、より多くの意見を集めるという目的を班員全員で確認して会議を進めました。製品案はあまりたくさん出てこないと考えたため、会議はマインドマップの製作を主として進めていき、もし、製作途中で製品案を思いついたら、製作途中でも製品案について発言をしてもらうという形で会議を進めました。

 班員の雰囲気としては、どんな些細なことでも発言する雰囲気になったように感じました。マインドマップに対する意見は、すでに出ているワードに関係するワードならば何でも良かったため、班員も気軽に発言できていたように感じました。マインドマップの製作で発言することに抵抗が無くなったのか、徐々に製品案についても意見が出てくるようになりました。

 私が感じた点としては、二つことを同時に進行すると、会議に対する班員の論点をずらさないようにすることが難しいと感じました。常に、現在の論点について確認する必要があり、ファシリテータからすると、二つのことを同時に進行することは大変であると感じました。しかし、マインドマップの製作のおかげで、発言しやすい雰囲気を作ることができたということも、強く感じられました。二つのことを同時に進行するという独自のファシリテーションも、しっかり論点を整理すれば、ファシリテーションの一つの方法として利用できると感じました。

 創造設計の会議のファシリテーションを行って最も強く感じたことは、話しやすい雰囲気を作ることが、いかに難しく、重要であるかということです。話しやすい雰囲気を作るために、ファシリテータは努力が必要となりますが、努力すれば、集めにくい意見も集められると感じました。会議を盛り上げたいならば、会議の出席者だけに期待するのではなく、ファシリテータが自ら工夫することが大切であると感じました。

創造設計に役立てました

 私が半年間学んだファシリテーションスキルを創造設計に活用しています。今年の創造設計のテーマは「楽器」ということで、まだ世の中に存在しない楽器を一から作ること目的です。世の中ではどのような楽器が求められていて、その楽器を実現させるためにはどのような問題があるのか、またどの楽器が一番簡単に実現できて世の中へのニーズが高いかなどの話しあいにファシリテーションスキルを活用してきました。では、創造設計内で活用できた例を図を使いながら、4つ説明します。

 1つ目の活用例は、ロジックツリーを用いて楽器の不便な点の整理を行いました。これは、私たちの班員には楽器経験者が一人もいなかったのでなぜ楽器をやらないのかを考え、その問題を解決する楽器こそがニーズに合った楽器ではないかと考えたからです。ロジックツリーにまとめた結果の一部を右図に示しました。

 2つ目の活用例としてペイオフマトリックス法を用いて、必要技術の観点から適切な楽器の案を決定していきました。具体的には、右図から導いた楽器の問題点から、問題点を解決できる楽器の案を班員で話し合いました。話し合った結果でてきた案に必要な技術を考え、その技術にかかる費用と技術の難易度についてペイオフマトリックス法でまとめました。まとめた結果を以下の図に示しました。



図2:ペイオフマトリックス法


ペイオフマトリックス法よって得られた技術の観点と問題点を解決できる案と照らし合わせて、どの案がニーズを満たすものでありながら、技術的に自分達で作成可能かを考察しながら一つの案に決定しました。決定した案は、「どこでも楽器」です。この楽器はブロック状の小型化したパーツを持ち歩き、ブロックの組み合わせによってギターやピアノに変化するという案の楽器です。また通信技術によって同じ楽器を持つ人と互いに離れていても一緒に演奏可能という機能も備わっています。この案はコンセプト発表の合格を受けることができました。よってこの案を具体化していき、企画発表をしましたが、残念ながら合格を受けることができませんでした。理由は、はじめのコンセプト発表のときのコンセプトとずれてしまっているということでした。よって私達班はコンセプトをはっきりとさせるためにニーズを一から洗いだすことにしました。

 そこで3つ目の活用例として、再びロジックツリーを用いて、なぜ楽器をみんなやらないのかという点に着目してまとめました。右図はまとめた結果です。ロジックツリーをまとめると楽器の大きさや価格、楽器以外の楽しみ方が満たされる楽器、つまり「楽器未経験者が楽器を始めるきっかけとなる楽器」をコンセプトとしました。コンセプトをはっきりさせた状態で、案を考えました。新しく考えた案は、「手袋型の楽器」で色を識別して色に応じて音が変わるとういう楽器を提案しました。この楽器では、色が付いているものなら何でも楽器にでき、またカラフルな鍵盤を用いたピアノも実現可能です。この楽器なら玩具としても機能すると考えられ、楽器挑戦への懸け橋になると考えられます。この案は、再企画発表で合格を受けることができました。 

 4つ目の活用例は、いままでの話し合いすべてに通じる活用ですが、会議を始める前にその日にすべきことは何かと今後の日程を確認し、班員にその日の会議の重要性を認識させています。また、ファシリテータを経験したことによって毎週の会議の進行をスムーズにし、参加者からどんどん意見を引き出しています。さらに、グラフィッカーを経験したおかげでホワイトボードに班員からの意見を図を用いてわかりやすくまとめることができています。一番役に立ったと感じたことは、コンセプト発表や企画発表のときにプレゼンターとして普段から発表していたおかげで、先生からの厳しい質問への解答をはっきりとすることができました。

 まとめると、たった半年間ですがファシリテーション能力を学んだことは上記のようにさまざまな場面で活用できています。この能力をお今後の生活にも役立てていきたいです。

対立意見から逆転の発想でユニークなアイディアが生まれました


一人一人の意見を尊重し、納得度の高い問題解決を行うことはとても難しいことです。このような会議を行うためには、次の4つの重要なキーワードがあります。

1.共有

2.発散

3.収束

4.決定

これらのキーワードを満たすためにしなければならないことを示していきます。


●共有について

①1つ目の方法は、会議の前にアイスブレイクを取り入れることです。会議の前にアイスブレイクを行うことで、話をしやすい環境を作ることができます。結果として会議を成功に導く素晴らしい意見が出やすくなります。例えば、今週あった素敵なことと題して2人一組で1分間ずつ相手に話します。私がこのアイスブレイクを行った時はお互いに楽しく相手のことを知ることができ、リラックスして会議に臨めたため会議がスムーズに進行しました。


②2つ目の方法は、ファシリテーションシートを作成することです。会議の初めに進め方を決定することで時間の無駄をなくし、スムーズに会議を進行することができます。


●発散について

①1つ目の方法は、相手の意見を遮らないということです。意見を言っているときに横から反論をされると、意見を言っている人は自分の言いたいことの論点をうまく伝えることができなくなってしまいますし、その後意見をだすことに手抵抗を感じてしまいます。私が実際に行った会議では、ファシリテーターが全体の指揮し意見を言う時間の後に質問をする時間を設けこれらの対策を行いました。その結果、メンバー一人一人が安心して意見を言うことができるようになり会議成功へ繋がりました。


②2つ目の方法はマインドマップを作成することです。マインドマップを作成することであらゆる方面から考えることができます。会議の初めは質よりも量をだすことが重要です。私が行った会議では、意見がでず滞っていた時にマインドマップを用いたところ次々と新しい意見が出て、会議を成功させることができました。



●収束について

①一つ目の方法は、あいまいな主張を明確にすることです。私が失敗した製品企画の会議での例を紹介します。あいまいな主張に対して質問をする、反論をするといったことをせずに意見を収束させてしまったところ、全員の共通の理解が出来ておらず会議の意図が不明瞭になってしまいました。結局この会議で考えられた製品企画は通すことができませんでした。この例から分かる通り、あいまいな主張に対しては厳しく意見を出さなければ会議を成功に導くことはできません。


②2つ目の方法は、議論をホワイトボードなどに描き、可視化することです。可視化することで、互いの意見を共有することができます。さらに会議全体の見通しもつくため現在の論点をぶれることなく会議を進行させることができます。


●決定について

①意見を決定する際には対立の意見を大事にすることが重要です。対立意見の中には新たなアイディアの種が隠されていることがあります。実際に私が行った会議では、対立意見から逆転の発想でユニークなアイディアが生まれました。


 以上のようにして、共有、発散、収束、決定の4つのキーワードを意識しながら会議を進行していくことで、一人一人の納得度の高い問題解決を行うことが可能です。

インターンシップで役立てました

 私は今年の夏休みにある企業のインターンシップに参加し、文学特論を通して半年間で修得した「ファシリテーションスキル」を活用しました。実際に活用してみて強力なスキルが身に付いていることが分かりました。

 場をつくりつなげる(共有)

 参加者は90人程でしたが、それぞれの部門ごとに分かれたので私の参加した部門の人数は13人でした。最初は集まって自己紹介をすることになりました。スキル活用のチャンスであると感じ、普通の自己紹介ではなくアイスブレイクを織り交ぜた自己紹介を提案しました。内容は、「自己紹介の中にクイズを1つは入れること」でした。例えば、私の好きな食べ物は何でしょう。ヒントは赤いものです。などといった感じでした。これにより緊張していた場は一気に和やかになりました。


図1.アイスブレイク効果


 受け止めて引き出す(発散)

 話し合いでは、参加者全員の積極的な参加が価値を決めます。アイスブレイクで場は和みましたが、話し合いになると意見が全然出ませんでした。有意義な話し合いにするためには多くの意見を引き出す必要があります。慣れ親しんだ学校ではなく、企業での話し合いにということで「しっかりとしたことを言わなければ」と考え込んでしまう人が多かったように感じました。そこで、私自身が多くの意見や質問をして「意見や質問をしやすい環境」を作りました。これにより皆が意見を出し、多くのアイデアが出ました。


図2.多くのアイデアを出す環境


③ かみ合わせて整理する(収束)

 話し合いが進むと多くの意見がでました。すると、あいまいな主張や偏った意見が出てきます。これを分かりやすくするために、グラフィッカーを用意してホワイトボードなどに出た意見を書きならべました。議論としては、ファシリテーターが進行し、グラフィッカーがホワイトボードに意見を書き、参加者が意見を出すという授業通りの形になりました。また、参加者同士の議論は熱くなりすぎてしまう可能性があるので意見はファシリテーターを通すというものが基本ルールの一つであり、他にも相手の意見を否定しないことなどを決めました。


図3.会議の様子


④ まとめて分かち合う(決定)

 話し合いが中盤を過ぎると結果をまとめなければなりません。そのため、意見の対立があるまま多数決などで結果を出してしまうと少数派の意見は押しつぶされてしまいます。これでは有意義な話し合いにならなりません。そこで、意見の対立からお互いが納得するような新たな意見を生み出すことができれば最善であると思いました。


図4.対立回避

インターンシップで役立てました

 私は8月1日から8月6日にかけて富士通のインターンシップにいってきました。
そこでのインターンシップはワークショップ型インターンシップでは全国の高専から集まっており6人1組で与えられた課題を達成していくものでした。

 一番最初はもちろんアイスブレイクからはじまり、自分についてのことをチームに人たちに説明し、それについての質問などをしました。学校での授業と同じように限られた時間の中で6人全員が時間配分を守って発表をするということではじめは見ず知らずの人と話すのも大変でしたが、1週間のうちにだんだんと慣れてきて本来の会話ができるようになりました。

 3日目からはソリューション演習に入りました。実際に会社で扱うような課題を与えられ、それをチーム全員で話し合い、最終日にプレゼンをするというものでした。ここで前期の授業で行った会議の仕方、チームでの役割分担などを初めにチームで決めました。ほかの高専ではこのような授業は行っていないといっていたので参考までに沼津高専での文学特論の授業を話したりしました。話し合いの中では、しっかりとファシリテーターも定まってきて、与えられた課題を3日間かけて深く話し合いました。学校では約50分間の話し合いでしたが実際のインターンシップでは3日間も1つの課題に対して与えられ、戸惑いました。しかし、私は学校での授業のおかげである程度は冷静に周りの人よりは判断できたような気がしました。6人それぞれがばらばらの意見を持っているということを実感し、ひとつの考えにまとめるということの難しさを改めて知ることができました。
周りの反応としては、一人が1つのことを集中的に解決するのではなく、全員がすべての進行状況を把握できるように、活動するように自然となっていました。しかし、長く会議をしていればしているほど話や、目的がそれてしまうこともありました。
そのような点も毎日チームで反省をすることによって改善もされていきました。また定期的に休憩を取るということの大切さも知ったと思います。


毎日朝出社したら必ず行う項目

・今日1日で達成する目標を宣言する。

・宣言した内容をチーム内で共有する。

・その日の日程が終了したら宣言した目標が何%達成できたか、どのようなことを今回の話し合いを通して思ったかなどを共有する。


私たちの班のルール

・人の発言は最後まで黙って聞く。

・人の発表が終わったら必ず拍手をする。

・時間配分を守る(発言しすぎないこと)

・一人の人を決めたらその人から時計回り必ず一人一つずつ発表していく。時間が余ったら2週目に突入する。


 最後に社会人基礎力レーダーチャートという自分の能力を調べるアンケートを用いてレーダーチャートを描きました。以下がそのグラフです。このレーダーチャートにおいても個人がインターシップ以前に高めたい能力をチームで共有しました。自分がどのような理由でその能力を高めたいのか人に2分以内で説明するのは短すぎるようで長く感じました。



 どんな話し合いをするにしてもファシリテーターを決めて進行するのですが、慣れないうちはファシリテーターがなかなかうまく勤まらないことも多くありました。しかし日が進むにつれて逆にファシリテーターがいなければなかなか議会が進まなくなっていました。

 ここで学校では周りで議論する人は知っている人ばかりでしたが、まだ知らない人といきなり会議するということに関して進行役というのはとても重大な役目をするのだと改めて実感しました。

 最終日に社会人基礎力についてインターンシップ後のレーダーチャートを描きました。チャートの大きさは以前より大きくなりましたが、私の伸ばしたかった創造力は伸ばすことができませでした。

 今回のインターンシップを通して、自分自身の持っていると思う能力が実体験を通して学ぶことができました。また、人と情報を共有することの難しさ、大切さを身をもって実感しました。

 プレゼンは7分間という限られた時間の中でしたが精一杯やりました。ほかの班も同じ議題について話し合っているのにもかかわらず、それぞれ全く違う解決策を議論していて、さまざまな方向から議題に対して解決策があるのだと学ぶことができたと思います。

 今回の経験を通して、ファシリテーションをするということが社会に出て、いかに必要な能力かということを富士通の方からの話などを聞いても、すごくわかりました。現在の企業への就職に関しては頭の良さよりもその人の持っている人格、人間性についても多く問われるようです。企業での会議においてリーダーシップをとることができ、進んで発言できるような人材を求めているとおっしゃっていました。

 今後の授業でも、この経験を生かし、将来のことを意識しながら、真剣にクラスメイトと議論し、一つの結論を出すという作業をしていきたいと思います。富士通のインターンシップはとても私にとって刺激になり、良い経験になりました。


 

 話し合いの進行順序はPDCAの順に行いました。QCDは製品を作るうえでの、守らなければならない要素をまとめたものです。

専門の演習に役立てました

1.どのような場面で活かすことができたか。

私は、文学特論の授業で得たフェシリテーションスキルを「MIRS1004 班における MIRS の基本設計構想」に役立てることができた。


2.進行順序

① 場を作りつなげる(共有)段階

1. アイスブレイク「夏休み、何をする予定?クイズ」

会議を始める前に、全員の「ほかの班に勝てる良いアイデアを必ず出さなければ」という緊張をほぐすためにアイスブレイクを行った。これによって、全員の距離感が縮まった。


2. 会議の目的の決定

会議の目的を定めるために自分たちが目指す MIRS のコンセプトをまず決定した。目標は「MIRS 競技会で注目を集める」となった。


3. 話し合いの基本ルールづくり

円滑に会議を行うため、基本ルールを作成した。そのときのルールを以下に示す。

a. 私語は最小限に、発言は手を上げて行う。

b. 無理だと思って意見を自粛したり、批判したりしない。

c. 必ずアイデアをひとつは出すようにする。


② 受け止めて引き出す(発散)段階

1. 多くのアイデアを出す

多くのアイデアを出すために付箋に思いついたアイデアを何でも書き入れ、全員が見れるように壁に貼り付けた。また、このときわかりやすいようにメカ的なアイデアは青い付箋、ソフト的なアイデアは黄色い付箋、エレキ的なアイデアは緑色の付箋とした。このときのグラフィックを再現したものを図 1 に示す。このとき、どんなアイデアが出ても批判して、取り下げさせたりしない。ということが重要だった。(基本ルール中にも示している。)また、アイデアが一箇所に固まらずさまざまな方向からのアプローチが見られた。


図1


③ かみ合わせて整理する(収束)段階

1. 議論を描く/図解を活用する。

②段階で発生した無数の意見をまとめるために文学特論の授業でも有効だったマトリクスを用いてアイデアを収束した。このときのグラフィックを再現したものを図 2 に示す。縦軸を「実行したときの効果」、横軸を「実現のしやすさ」とした。


図2


④ まとめて分かち合う(決定)段階

1.目標にもっとも適しているアイデアを選択する。

この際、図 2 において”効果が高く”、”実現できる可能性が高い”右上にあるものから数アイデアを選んだ。そして、それらのアイデアをさらに絞り込むため、グラフィックを用いた。グラフィックを用いることにより、目で見てわかる、同じ議論を繰り返さないというメリットが発生した。そのときのグラフィックを再現したものを図 3 に示す。項目の重要度は高い順に「コストが低いこと(2万円以内)」それにつづいて「競技がクリアできる可能性が高い」、「見た目が良い」となった。重要度が高い順に 4 点、2 点、1 点としてポイントをつけどれが優れているか見えるようにした。結果として、「MIRS にキャタピラを履かせる」という案が採用された。


図3


3.ファシリテーションスキルを活かすことによる周りの反応

今回、文学特論の講義で習得したファシリテーションスキルを使った場所が、同じクラスのメンバーでの会議だったということで、私が特別すばらしい人材として注目されることはなかった。しかし、そこからD4 クラスのメンバーが全員高いファシリテーションスキルを有していることがわかる。会議が終わったあと、メンバー全員で「ファシリテーションスキルを使うとすごく会議が円滑にすすんで良いね。」という 発言が聞かれるなどしていた。また、「全員が納得いく結果が出た。」と話すなど「会議がうまくいった」という反応があった。


4.ファシリテーションスキルを活かした会議を通して自分がどう感じたか。

ファシリテーションスキルを活かした会議というのを講義以外の場所で実践するのは初めてだったが、すんなりとスキルを活かせたことに驚いた。これならば社会に出ても少しは活躍できるかもしれないと思った。

発明技法TRIZをロボット製作に役立てました

私は電子制御工学科独特の演習科目MIRS(Micro Intelligent Robot System)において、半年間で修得したファシリテーションスキルを活用することが出来ました。

このMIRSという科目はいくつかの班に分かれ、それぞれの班で別々のコンセプトに基づく課題達成ロボットを作成する実習を行う科目で、その性質上、班員同士の話し合いが重要になります。

文学特論で培ったファシリテーションスキルを活用することで、私たちの班は現時点ではほかの班と比較しても一歩先んじた位置にたどり着くことが出来たといえるでしょう。

具体的には、ファシリテーションのスキルを活かすことで、有意義な意見を普段よりも多く引き出すことができ、また大量の意見をまとめ、有意義な結論を引き出す際にも、ファシリテーションスキルがうまく働いてくれました。

周囲の反応としても、周りはクラスメートばかりなので、ファシリテーションスキルとはどういうものかについてある程度の共通認識が文学特論の授業を通して培われていたため、話し合いを円滑に行うことが出来ました。

そして、ファシリテーションスキルを用いない場合よりも、格段に話し合いが円滑になっていると私自身も強く感じることができました。

特に、TRIZによる発想法は多くの建設的な意見を引き出すのにとても役立つものであり、社会に出てからも有用な手法であると実感しました。

例えば、TRIZの分割原理によって私が新しく発案することのできたアイデアとして、全体が二つに分離してそれぞれがゴールを目指すことで、時間短縮を目指すというものがありましたが、あいにくレギュレーション違反である可能性が高く、採用はできませんでした。

しかし、機体の各部を組み立て、分解がなるべく簡単になるように設計するという考え方は有用であると考えられました。

従って、現行のバージョンの機体はそのように設計がなされています。

また、機体の車輪などの駆動方式をあらかじめ障害を越えやすいものにしておくという考え方に基づいて駆動方式をキャタピラに変更しましたが、これはTRIZで言うところの先取り作用原理に当たるといえます。

機体の形状を変更してより早い迷路の攻略を目指すというアイデアも出ました。これは、パラメータ変更に当たると思われます。

他に、ダイナミックス原理に基づく斬新なアイデアもいくつかありましたが、ほとんどは残念ながら強度や加工難度、納期、予算総額などを勘案した結果、不採用となってしまいました。

総合して、TRIZによるアイデアの絞り出しは大変有用に働いていたといえるでしょう。

同様に実際に用いてみた結果として、ファシリテーションの4つのスキルは話し合いを円滑に行ううえで重要なものだと感じました。

特にすばらしいのは、実際の会議を行う上で望ましい状態を作り出すための方法がある程度明文化されていることでした。

これを指針として活動する事ができるのは大きく、意見が出しやすい空気の元で快適かつ有意義な会議ができたといえます。

実際の会議進行の大まかな流れを下の図に示します。

以上が、私のファシリテーションスキルの活用についてのレポートです。

創造設計の話し合いに活用しました

 私は半年間で修得したファシリテーションスキルを、創造設計の授業で、企画を立てるときや実習の始めに活用しました。

 創造設計の授業では楽器会社になったつもりで今まで世の中になかった独創的な楽器を作るというのを目標に1年間をかけて進みます。流れとしては、コンセプト発表、企画発表、設計レビュー、組み立てなど、成果発表の順に進みます。この中ですでに終わったのはコンセプト発表と企画発表です。半年間で修得したファシリテーションスキルを特に使用したのが企画発表です。

 これからどのように企画発表でファシリテーションスキルを利用したかを説明します。

 まず、コンセプトに沿った案を思いつくだけだします。今回挙がった物は

① 声から音楽へ

② 指揮棒リモコン

③ エア演奏・手袋

④ 曲←→ピクチャ

⑤ 玉楽器

の五つです。これを図1のようにどのような機能を持っているか、また感覚的に演奏できるものなのかそれとも演奏技術が必要となってくるものなのかを右側にかき、見やすくまとめました。


図1

 次に、図2のように意思決定マトリクス法を利用しどの案が理想的かをより分かりやすくする。項目としてハード、ソフト、感覚、技術、アイデア性の五つがある。⑤の感覚、技術に関してはニーズによってどちらかを高くさせることもできるので、この五つのうち、③と⑤を有力として進行することにした

 そして③と⑤を並行して進めた。どちらもより具体的な操作方法、外見(およその寸法など)、処理の仕方などを具体的にしていきました。ある程度具体的に決まったら最後にどちらにするかを考えました。このときペイオフマトリクス法は使用しませんでした。なぜなら、ペイオフマトリクス法を使うより2つの案の具体案を細かく書いていき比べたほうがよいと思ったからです。結果的に⑤の案で話を進めていくことになりました。


図2


 毎回の実習の始めにはその実習で最終的にどのようなことが決まっている状態になっているべきか、またどのようなことを考えるべきかを具体的に話し合い、毎回の実習の目標を設定しています。これによって実習中に何をすればいいかわからずただ時間だけが過ぎていくというようなことはなくなりました。また、目的を定めることによって班員一人ひとりが、いま自分が何をすればいいか考えることができます。それにより、よりスムーズに話が進みました。

 また、実習が始まる5分くらい前には班員が集まっている状態にあるので、ジョークを言ったりして適度にアイスブレイクをしています。それにより面白い案がたくさん出ました。

これは実習の始めではないのですが、毎回実習で一言もしゃべらない人が出ないように努力しています。具体的には、この案についてどう思うかという質問するというようなやり方です。

 以上が、半年間で修得したファシリテーションスキルを実際に活用した方法です。

大石加奈子

東北工業大学ライフデザイン学部
経営コミュニケーション学科
教授
東北大学大学院工学研究科   特任教授

大石加奈子

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