高等教育を活性化する大石加奈子のコミュニケーションスキル教育

「話し合いのスキル」「人間力」「社会人基礎力」「問題解決力」の育成

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成果報告2013

部活動で県大会出場を目指す際に何からすべきかを後輩とともに認識できました

 私は半年間で得ることのできたファシリテーションスキルを後輩の部活のミーティングに活用しました。私は沼津高専野球部のキャプテンをしていたので新チーム体制になった後輩のミーティングに参加する機会がありました。

 ミーティングの際、監督の指示で秋季大会での目標、目標を達成するまでにどういうことをするのかを決めろと言われていました。新チーム最初のミーティングでこのようなことを話し合うのは難しく、上下関係のある運動部の下級生にとっては意見をだすことに慣れていない様子だったので大石先生から学んだファシリテーションスキルを活用しようと思いました。

 多くの運動部の権力図は学年ごとにピラミッド型になっています。



 1.2年生のミーティングで心配だったことは一人の意見が強すぎないかどうか。多くの意見が出るかどうか。途中で話が本題から離れていかないかどうかが考えられました。

 私が一番最初にするべきだと考えたのは多くの人が意見を出しやすくするようなアイスブレイクをしました。私が行ったアイスブレイクの内容は私が下級生だったころの体験談をしました。それによって下級生のモチベーションを上げることが見込まれより良い雰囲気でミーティングに参加させることができるようになります。KTPのKeepの要素、良いモチベーションとTryの要素、多くの意見を出すが得られました。

 話し合いがはじまると私が期待したどおりに多くの意見がでてきて出た意見に対しての自分自身の考えなどもでてきてアイスブレイクの効果が感じられました。何よりも私がうれしく感じたのは一年生からの意見が多く出たことです。

 話し合いの結果、秋季大会の目標は県大会出場というようにきまりました。目標達成のためにどういった練習をするかどうか考える際、私はペイオフマトリクス法を使い出てきた意見をまとめてみることにしました。その際下級生にはこれまで先輩たちがしてこなかった練習や実現が難しくても自分たちが少しでもやりたいと思っている練習法やチームが抱えている問題など、目標達成のためにすべきことを多く出すようにと伝えておき多くの良い意見をえることができました。



 ペイオフマトリクス法を用いた結果このようになりました。私が行ったペイオフマトリクスを見せた結果チームが県大会出場を目指す際に自分たちがどういうことからするべきかを認識することができました。やはり効果が大きく実現しやすいことからするべきではないかといった意見が多くあり監督に以上のようなことを報告することができました。

 今回、下級生のミーティングでペイオフマトリクス法を用いた結果、目標達成のためにだされた多くの意見をまとめることができました。ペイオフマトリクスの図は見やすく説得力があるので今後の話し合いの場にも活用しようと思いました。自分がファシリテーターとなったときに初めてアイスブレイクの重要性がわかりました。今回私が行った進行順は以下の通りです。進行順も重要なファシリテーションスキルだとわかりました。


Android用のアプリケーションの改善に役立てました

 8月に、ソフトウェア会社のインターンシップに参加しました。そこで、半年間の文学特論の授業で得たスキルを活用したので、報告します。

 文学特論の授業では、ファシリテーションを学びました。そのなかで、グループのメンバーをファシリテーター・グラフィッカー・タイムキーパー・プレゼンターに分担しました。今回のインターンシップでは、ファシリテーター、グラフィッカー、プレゼンターとしてのスキルが生かされたと思います。


・ ファシリテーター

 今回参加したインターンシップ先では、カメラや音楽プレイヤーなどに組み込まれているソフトウェアやAndroid用のアプリケーションを開発しています。今回のインターンシップは、全国から7人の高専生・専攻科生が集まって行われ、この7人をグループに分けて、Android用のアプリケーションの改善を行いました。3人グループの中で、アプリケーションに対してどのような改善を行うか・どのような発表にするか を話し合いました。実習は改善がメインなので、話し合いをするための時間というものはありませんでしたが、ファシリテーターとしてのスキルは生かされたと思います。

 具体的には、与えられた課題の内、どれをやるべきなのか・どれをやりたいか・新たにどのような課題が考えられるか などの意見を導き、まとめるということをしました。グループのメンバーも、多くの意見を出してくれました。


・ グラフィッカー

 インターンシップでは、話し合いに多くの時間をとることができなかったので、話し合いの内容はルーズリーフにまとめていきました。限られた時間の中で決めるべきことを決め、チームの意見をまとめることができました。この話し合いで、出てきた意見を目に見える形にすることの重要さを確認することができました。


・ プレゼンター

 文学特論の授業では、ファシリテーションの中でのプレゼンターとして多くのスキルを身につけました。また、前期の文学特論の終盤では、プレゼンテーションの方法について授業をしていただきました。

 今回のインターンシップでは最終日に、二週間の実習内容を発表する場がありました。そこで、授業で身につけたスキルを一番発揮できたと思うので、報告します。

 まず、プレゼンテーションの資料の一部を下に示します。



 スライド画面に内容をそのまま載せてしまうと、わかりやすさが欠けてしまったり、発表のときに視聴者のほうを向くことができなくなったりすると思い、図1のようにシンプルなものにしました。また、実習内容がわかりやすくなるように、写真を適度に用いました。これは、よりわかりやすくするために、それぞれの写真が表示されるタイミングを変えました。

 発表の際は、資料を読んでしまわないように注意し、視聴者のほうを向いて発表するように心がけました。また、授業中には立ち方のことも指摘されたので、その点も意識して発表しました。

 これらのこともあり、発表はよい評価を得ることができました。

 今回のインターンシップは、話し合いをする場面が少なかったですが、それでも文学特論で得たことがとても役に立ちました。また、仕事をする上でファシリテーションに関する能力が重要だということがわかりました。

 インターンのメンバーと、懇親会や食事などでとてもよい関係をもてたという点も、今回の発表を含めて、インターンシップ成功のもとだったと思います。

PBLでの問題点を解決するためにすべきことが分かり、作業が効率的になりました

ファシリテーションスキルを活用した効果

 私は文学特論で修得したファシリテーションスキルをProject Based Learning(以下PBL)で活用しました。PBLではクラスを10班に分け、それぞれの班が提示された課題を達成するための回路を制作します。回路の製作では班内で話し合いどのような回路を設計するか、班内での役割はどうするかなどを話しあわなければいけません。班員全員で意見を交換しあってよりよい回路を制作しなければいけないのです。

 そこでファシリテーションの授業の形式で話し合いました。班員で達成すべき目標を決め、どのような回路を制作すればいいのか、役割をどのようにすれば全員で負担を分散できるのかを考えました。

 回路を制作していく中で何度か問題が起こることがありました。その問題は小さなことから最終的な成績に関わる大きな事まで様々でした。しかし文学特論の授業で体験した話し合いを自分たちで実践することにより、問題点を解決するためにすべきことが分かりました。また班員全員で問題点を共有することや、一人では考えだすことのできなかった意見も出ました。

 始めの頃は文学特論で扱ったような話し合いをしていませんでした。その時には班の中でPBLに対する意見の違いや、回路の製作に関する理解の差で、意見がまとまらないことがありました。また役割分担などもうまく行かず班内で仕事の量に差ができてしまいました。それが原因で回路製作が思うように進みませんでした。その頃は班内ででた案を板書することや真摯に相手の意見に耳を傾けることができていませんでした。今考えれば自分たちの状況を客観的に見ることができていなかったと思います。そうしたことで他の班よりも作業が遅れていき、回路の製作がうまくいかないこともあって焦りを感じていました。

 その時文学特論の授業を思い出しました。そこで班内で出た意見を書き出すことにしました。意見をいう時にも全員が順番に意見をいうようにし、その間は一人の意見を全員が聞くことにしました。そしてその意見について他の主張をする時間も取りました。班内での役割分担も、得意なところ不得意なところを全員で話し合い、班内で最も負担が減らせるような役割分担にすることができました。また自分たちの意見が整理されたことや役割分担が決まったことで、全体でやらなければならないこと、個人でやるべきことが明確にわかりました。それまでは回路の完成を目指してがむしゃらに作業をしていて効率が良いとはいえませんでしたが、話し合いのおかげで回路の完成までの道筋がたち、スムーズに作業できるようになりました。そして何か問題が起こった時にも冷静な対応ができるようになりました。また役割分担が決まっているのでひとりの作業が遅れても他の人で補うことができました。

 私は文学特論で習ったことを完璧に行ったわけではありませんし、すべてを実践したわけではありません。しかし授業内で印象に残ったことや良いと思ったことをPBLに活かしました。その結果PBLを順調に行うことができました。


実際のファシリテーション会議の様子

 私はPBLでの話し合いの中で次のことを実践しました。

  1.話し合いのルールを決める

  2.ペイオフ・マトリクス法

話し合いのルールは以下のように決めました。


表 1 話し合いのルール


ペイオフ・マトリクス法を用いた話し合いでは以下のようになりました。


表 2 ペイオフ・マトリクス法


 話し合いのルールでは常識的な事もルールにしました。会議が白熱してくると自分の意見にとらわれがちだと思います。しかしルールを守ることでそのようなことはなくなりました。みんなでルールを守って会議をすることができました。

 ペイオフ・マトリクス法を使うことで作業が効率的になりました。それは一目でやるべき作業が分かるからです。また無駄な作業をする事がなくなりました。

PBL課題(1MHzで発振する正弦波発振回路製作)に役立てました

 私たち電気電子工学科では、PBL(Project based Learning)と呼ばれる学生実験を前期に行っている。その中で、決められた期間・予算で回路を自分たちで作成し、テーマに合った結果を導かなければならない。いかに効率よく作業を行うかが重要である。そのためにファシリテーションを利用し回路の作成を行った。今回の課題は、1MHzで発振する正弦波発振回路を作成することである。

 まず、私たちの班では回路作成までの計画を立てることにした。前期という決められた期間の中できちんと期日までに課題を提出できるようにするためである。下に簡単な図を示す。



 この計画の中で一番時間を費やしたのは回路作成である。回路を作成し動作させたが、思ったとおりの結果を出せなかったのである。そのため、「1MHzで発振する回路を製作する」ことを目標にして、何を改善したらよいか意見を出し合うことにした。出た意見を段階的に細分化して具体化した。下に簡単に示す。



 私たちの班では、「1MHzで発振させる」ためには大きく分けて二つ重要だと意見が出た。それが、デバイス調整、発振部分の調整である。(ノイズは波形をきれいにするためである)この二つを改善するにはそれぞれデバイス回路の抵抗値を調整することによりデバイスを安定させる。周波数は発振回路のコンデンサやコイルによって発振周波数が決定されるため、回路を作成した後でも簡単に値を変えることができる可変コイルを使用する。
などの意見を出すことができた。

 最初はなかなか会議をスムーズに進行できなく、意見が出なかったり、班員がまとまらなかったりしたが、最終的には班員で一つの目標を共有することで団結して取り組むことができた。

 ファシリテーションを活かすことにより回路の問題を改善できただけでなく、班員それぞれが自分の分担された役割をこなすことで効率的に、また、積極的に取り組むことができた。実際にファシリテーションを行い、重要性とその難しさがわかったのでよりいっそう集中して取り組んでいきたい。

 企業に就職しても定められた期間の中で結果を出さなければならない。そのためには、効率性、安全性、公平性など様々な問題に直面すると思う。今回のファシリテーションを通してこれらの問題を解決するのにファシリテーションという存在の大きさを認識することができた。決して簡単なことではないが、ファシリテーションスキルをあげていき少しでもよい結果を残せるようにしていきたい。

PBL創造設計でメンバーの輪が深まり円滑な会議を実現!製品を完成できました

 私はこの文学特論で学んだファシリテーションスキルを、S4の科目である”創造設計”で活用した。創造設計ではクラスの中からランダムで8人のグループが作られた。4年間同じクラスで学生生活を過ごしてきたといっても、普段から馴染みのない、それほど親しくないメンバーもいた。その様な環境の中で話し合いを行い、一つの製品を完成させるまでには、この"ファシリテーションスキル"が必要とされた。


2.活用の内容

(i) 初回ミーティングの信頼関係作り

 チームのメンバーが決まった時、私は場の雰囲気を良くしたいと思った。最初の印象で今後の活動の全てが決まるということは、今までのチームでの実習や文学特論の授業等で経験してきたからだ。そこで、「○○がリーダーなら、いい製品が完成しそうだね」と発言した。すると他の者が「○○や○○のような頭のいい人もいるし、このチームは最高だね」と発言した。その結果、チーム内に信頼感が生まれ、ポジティブで話しやすい雰囲気を作ることが出来た。相手を褒める、初回の信頼関係作りといったファシリテーションスキルを活用した。


(ii) 話し合いの基本

 会議では、否定的な考えをしないよう心がけた。アイデアは質より量が大事であるため、「それはないよ」と他人の意見を簡単に捨ててしまってはその対立から生まれる新たなアイデアも失ってしまう。否定的な発言をしないことにより、アイデアに対して真剣に考え次のアイデアが生まれる、といった前向きな会議の流れが生まれた。


(iii) メリット・デメリット法による合意形成

 創造的で独創的な製品を考えるこの会議では、意見や考えがわかりにくかったりまとまらなかったりすることがあった。そこで私のチームでは”メリット・デメリット法”という合意形成のための技法を用いることで話し合いを構造化した(図1)。ある議題の候補として3つのアイデアが挙がった。これに対し、リーダーはメンバー一人一人からメリットとデメリットを聞いていき、ホワイトボードに書き出した。表にしてまとめるまではわかりにくかった意見が視覚的に整理され、共通のメリットやデメリットも見つかった。ホワイトボードにまとめられたメリット・デメリット法の表により、話し合いはさらに弾み、選択すべきアイデアの候補が明らかとなった。



図1 画像認識用カメラの議題におけるメリット・デメリット法


3.所感

 今までこのような会議をする経験は全く無く、創造設計で初めての経験だった。文学特論で学んだファシリテーションスキルを活かすことによって、メンバーの輪は深まり、会議も円滑に進んだ。最終的にプロジェクトの製品を完成させることもできた。今回の創造設計のチーム経験により、会議におけるコミュニケーションの重要さを実感した。今後、チームでの活動や会議をする機会は多くなると思うが、このファシリテーションスキルを忘れないように実践していきたい。

いつもの話し合いのずれがなくなり、皆が納得できる旅行先が決まりました

私は半年間で修得したファシリテーションスキルを、中学時代の友達との旅行先決定の話し合いのときに活用しました。実際の話し合いの流れは次の通りです。


① 目的、目標の設定

旅の主な目的を以下の通り決定した。



② 進め方の設定

話し合いのルールを以下の通り決定した。



メンバーそれぞれに予定があり、なかなか全員が集れる機会を見つけられなかったが、SNS等も利用し、必ず全員が話を聞いている状態で話し合いを進めるようにした。このことで、全員の意見を取り入れることができた。
また、話し合いの時点で、全員が全ての情報を共有することができた。


*①,②のことをいつも念頭に置いてその後の話し合いを進めていきました。


③ アイデアを出す 思いついたことをとりあえず言ってみる。ということで、とにかくたくさんのアイデアを出しました。



④ 意見をまとめる

目的地をいくつか具体的に挙げ、移動距離・時間のもとで、目的地をそこにすることで達成できそうなことをアイデアの中から選別し、できるだけ詰め込み、それぞれ目的地の下に並べていった。



⑤ 目的地を決定する

個人の希望・意見などを、まとめたPlanそれぞれについて意見を出し合った。
そして、全員一致の下で目的地を決定することができた。



以上の流れを経て、目的地を決定しました。


 

周りの反応and私の感想

中学の友達との旅行という毎年恒例のイベントを、ファシリテーション演習で得た知識を生かしつつ計画してみました。今回の話し合いは納得度・参加度ともに100%でした。

実際の話し合い中も「これは流石にないか?」と意見を出した本人が疑問に思いつつ挙げるような意見がいつもよりたくさん出てきて、それに対して「じゃぁこうしたら…」と意見が挙がり、そこから思わぬ良いアイデアが生まれることもありました。

今回は旅行だけでなく、話し合い自体もとても楽しかったと好評でした。

私個人の感想としては、目的やルールを初めにはっきりさせたおかげで、いつもどんどんずれていく方向性がずれることなく話し合いが進められ、みんなが納得できる楽しい旅行に行くことが出来ました。今後も話し合いを行う際には、目標・ルールを設定するようにしたいと思います。

インターンシップ先で社員の方が、私のファシリテーションスキルに驚かれました

 私はこの半年間の授業で習得したファシリテーションのスキルをインターンシップで発揮してきました。グループでのブレイン・ストーミングや最終的に意見をまとめる過程でファシリテーションのスキルを活用できたとおもいます。

 私は東京都にある株式会社ドワンゴのインターンシップに参加しました。そこで行ったのは同社が運営するWebサービスに新たなユーザーを増やすような新しいサービスを企画するというものです。企画はグループごとに行い、私たちのグループには私の他に早稲田大学の大学院生、大阪大学の3年生、奈良大学の3年生と、チューターとして社員の方がいました。

 まずはじめに行ったのはアイスブレイクです。授業でやったようなウソホントゲームや他己紹介などをしてまずは会議の場を温めました。それによりメンバーの間にも緊張がとけ、リラックスした雰囲気で会議を始めることが出来ました。

 その次に、まずは企画のターゲットとなる「新規ユーザー」を更に具体的に定義する意見を出しあいました。その際も授業でやったように付箋にどんな些細なことでも書きだしていって、ホワイトボードに貼ってカテゴリごとに分けて行きました。小さな意見が集まってもっと大きな考え方が生まれたり、より多くの意見が出るカテゴリを重点的にせめて行ったりなど、その後の作業でも大いに役立ちました。その時に意識したことは、まずはブレイン・ストーミングの段階では否定意見を出さないこと、とにかく自分が思いついたことを一つでも多く書き出すことでした。

 次に集まった付箋の全体を見て、新規ユーザーとしてターゲットしやすい年齢や性別などを皆で考え、最終的に一つの案にまとめる作業を行いました。これは付箋をカテゴリ別に分けることで近い意見の付箋を並べ、似たアイデアを一つにまとめていくやり方でアイデアの収束を測りました。その結果、私達のグループでは「自分のパソコンを持っていない中高生の男女」をターゲットとした企画を行うことに決まりました。ここまでで午前の作業時間が終わり、昼休憩になりました。

 昼休憩の時に社員の方とお話をする機会がありましたが、その時に実はファシリテーションの流れは予めインターンシップのプログラム予定に入っていたこと、それを社員がサポートする形で進行する予定だったこと、しかし口を出す前に学生が自主的にファシリテーションを行い議論が進められていったことに驚いた事などを伺いました。実際に付箋を使ったブレイン・ストーミングなどはドワンゴ社でも行われていて、ユーザーのニーズに合わせた柔軟な思考が求められる同社のサービスでは企画開発にこのような意見の出し合いは不可欠とのことです。それを自主的に始めた学生は今までのインターンシップでもあまり多くはいなかったとのこと。

 午後の作業では実際にサービスのデザインを考えたり、細かい部分の機能を考えたり、それに必要なインフラを設計したりしました。此処からは技術的な話題も増えるので社員の方も交えて活発な意見交換を行いました。デザイン設計の際はそれぞれ各人が紙に自分がイメージするデザインをざっくり描いて、それぞれのアイデアについて意見を出しあいました。この段階ではもう具体的なサービスの形が見え始めていたので個人の意見に対して細かな質問や意見を出し合って、最終的にそれぞれのいいところを採用して一つのデザインを完成させました。

 機能面では私はプログラミングは得意なので特に活発に意見を出しました。多くの意見がグループの意見として採用されて嬉しかったです。社員の方にも感心されました。最終的にグループごとに意見を発表し合いましたが、ファシリテーションがうまく進んでスムースに議論が進んだのでとても有意義な会議にできたと思います。


学生寮役員研修のディスカッションを大幅に改善させることができました

1. はじめに

 今回私は、『課題1』として、寮役員研修で実施されたグループディスカッション内で私が実践した、ファシリテーションスキルの応用例を挙げる。ディスカッション自体は1時間弱という短いものであったが、ファシリテーションスキルの実践による話し合いの高効率化を如実に体験することが出来た為、本レポートにて取り上げる。


2. 経緯

 沼津高専寮生会では、毎年の恒例として夏季休暇終了の3日前から寮役員研修が行われる。そこでは活動の一つとして、少人数のグループによるディスカッションが行われる。今回は私が司会・進行を担当することになったのだが、 (議題の難しさも相まって)前半部の議論はあまり実りあるものにならなかった。そこで、後半部のディスカッションにてファシリテーションのノウハウを積極的に導入したところ、大幅な改善を見ることが出来た。以上のような経緯から、今回の課題に最適だと考え、取り上げることにした。


3. 実践内容

 ディスカッションの議題は「どうすればワーキンググループが活性化出来るか」というものであった。現在の寮のシステムにはワーキンググループ(以下、WG と略す)というシステムがある。WGは寮での生活改善のために有志が集まり発足する組織であり、ここでの提案は直接本部に上げることが出来るというメリットがある。しかし現状、この WG があまり活発に活動していないという問題点がる。今回のディスカッションでは、この問題点の改善方法について討論していくことになった。

① 現状把握

 まず現状どのような問題点が存在するのか、意見交換を行った。挙がった意見としては、大別して
・WG に関する情報が非公開で、現在どんな WG が活動しているのか不明。
・WG そのものが現状参加しにくいシステムとなっている。
の2点であった。

② 目標設定

 ①で挙がった問題点に対し、その改善のため本ディスカッションでは次の目標を設定し、これを達成することを議題に対する結論とすることにした。
・目標「寮生に対する WG の認知度の向上、及び寮生がより参加しやすいシステムへの改善」

③ アイデア出し

 ②で設定した目標達成のためのアイデアを出す。ここでは、『出来る出来ないに関わらず思いついたものはとにかく共有する』というスタンスでアイデア出しを行った。その結果、多くの意見を集めることが出来た。ここで出た意見全てを取り上げることはできないので、主だったものを以下に挙げる。

ⅰ.認知度向上案

(a)WG 発足、運営、参加方法などに関するマニュアルを作成し配布する。

(b)『寮のサークル』のような存在にする

(c)現在活動中の WG の進展具合を放送したり、機関誌に掲載したりする。

ⅱ.システム改善案

(d)22 時点呼後など、多人数が比較的集まりやすい時間帯で活動する

(e)web の BBS や音声チャットなど、ネットワークインフラを利用し、遠隔ミーティングを可能とする

(f)WG 活動に一定の期間を設ける(無期限での活動となると参加しにくい学生が多数居るため)

④ 重み付け

 ③で挙がった意見に対して重み付けを行い、達成順序を設定した。今回はペイオフ・マトリクス法を用いて多数のアイデアを比較した。(ただし、時間の都合上、実際に模造紙で作った表を用意することが出来なかったため、図 1 のような『イメージ』を参加者各々のノートに書いてもらい、口頭のやりとりで比較を行った。)



図 1:ペイオフマトリクスのイメージ


⑤ まとめ

 ④のペイオフマトリクスを用いた比較から、具体的な実施順序を定める。今回は、最終的に「機関紙の掲載やマニュアル作成など書面での改善から始め、徐々に浸透してきたところでシステムの改善を行い参加者の確保を狙う」という結論に達した。


4. おわりに

 今回のディスカッションを通して私は、ファシリテーションスキルの有用性を身をもって体験することが出来た。しかし同時に、充実したディスカッションには事前の準備が重要であるとも感じた。特に、ペイオフマトリクスの表を用意出来なかったのはかなりの痛手で、口頭によるやりとりでは話し合いが円滑に進まなかったのは言うまでもない。今後このような機会に出逢えれば、その時は実りある話し合いができるよう入念に準備し臨むつもりである。

社会実装インターンプロジェクトで活発に議論できました

 私は4年に進級してから、電子制御工学科研究室で友人2人とともに、研究をさせていただいています。その一環として、東京高専が主催する社会実装インターンというプロジェクトに参加しています。このプロジェクトは、社会問題やユーザーニーズを実際に抽出し、それらをITやロボット技術を用いて解決することを目的としています。その中で私達は、病院での点滴台の問題点に着目し、点滴台ロボットの開発を行なっています。

 そして、そのプロジェクトの中間報告会が9月8,9日に東京工業高等専門学校で開催され、他6高専に混じって、参加してきました。1日目は、アイスブレイクとグループディスカッションを行いました。

 アイスブレイクでは5人ほどのグループに分かれ、そのグループの中で、5人の共通点を紙に書き出して行きました。共通点を見つけるためには、みんながみんな自分のことを喋らなければならないので、初対面の方のことを知れる良いアイスブレイクとなった気がします。

 授業で教えていただいた通り、話し合いの前にアイスブレイクを行うとその後の話し合いが話しやすく、円滑に進むということを実感いたしました。多くの方々が初対面で集まっている部屋に入ったときは、誰も1言も喋らず、ぎこちない雰囲気だったのがこのアイスブレイクを通して、和やかで意見を出しやすい雰囲気に変わりました。この中で、先生がタイムキーパーらしきことをやって下さったので、リーダー(ファシリテーター)を決め、私がグラフィッカーをやりなどと文学特論の授業で教えていただいたことが実践できました。周りは5年生ばかりでしたが、習ったことを生かしたくて分担を決めてしまいました。このおかげで次のグループディスカッションもうまく進めることができたと思います。

 続いて、同じグループで「お年寄りをどうやって外出させるか」というテーマでディスカッションを行いました。流れとしては、
役割を決める→個人で黙って付箋に外出しない原因を書く→話し合いながらフィッシュボーンダイアグラムに貼っていく→主な原因をいくつか選び出す→それを工学的に解決する手段を考える→原因と解決策をグループごと発表 という形で進行して行きました。

これも授業で教えていただいたフィッシュボーンダイアグラム(特性要因図)が出てきて驚きました。ここでも5年生のいる中、まとめさせていただきました。私がファシリテーターをやり、グラフィッカーは他の人に任せました。

 まず、個人ごとに書いた付箋で似たようなことは1つにまとめ、要因として貼りだしていきました。まだ意見が出そうだったので、出た付箋の内容を踏まえて原因を上げていきました。出た意見のなかで主要な原因と思われるものを3つほど話し合って決め、それの解決策を上げました。対人恐怖症、友だちが他界してしまったことに対する解決策としては、友達ロボットの開発。交通事故が不安ということに対しては、障害物接近センサの開発。などを考えました。

 この初対面の中で多くの意見が出せて、活発な議論が交わせて本当に嬉しかったです。授業で学んだことが使える、役に立つ、これほどうれしいことはありませんでした。これからも文学特論という授業の中でファシリテーション、プレゼンテーションの技能を多く学び、身に着けていきたいと思っています。


Table 1 アイスブレイクで書きだした表



Figure 1 ディスカッションで作成した特性要因図

小水力発電アイデアコンテストの会議で役立てました

 私は半年間で学んだファシリテーションのスキルを、小水力発電アイデアコンテストの会議で使用し、バラバラで曖昧模糊とした意見をまとめることに活用しました。

 会議の議題は、水車をどこの候補地に設置するかでした。

 全部で20か所近くに上る候補地のうち、私達が実際に現場に向かい、河川の水量や流速、付近の住民への聞きこみ、周囲の電力のニーズなどを調べたのは6か所でした。この6か所の中から1か所に搾るために、会議を行ったのです。

 私の役割はファシリテーターでした。

 会議に参加したメンバーは制御情報工学科の中から私を含めて6名と、電気電子工学科から1名が参加し、計7名での会議になりました。

 まずはじめにアイスブレイクを行いました。電気電子工学科のメンバーとは初めての顔合わせだったので、自己紹介を兼ねた簡単なゲームを行いました。

 次に、ブレインストーミングによる各候補地のメリット、デメリットについての意見の出しあいを行いました。発電効率がよいこと、水車の設置が容易であること、その他、電力の需要が非常にある等の意見が出ました。

 ですが、メリットやデメリットをただ羅列されていくだけで情報が汎雑になり、どこの候補地が優れているのかがよくわからなくなってしまいました。

 そこで私は、ペイオフマトリクス法による解決を提案しました。様々な条件に重みをつけて全員で評価することで、よりメリットデメリットをはっきりと、明確に把握することができると考えたからです。この時に作成した表が下の表です。



 このペイオフマトリクス法によって、スムーズに水車を設置する場所を決めることができました。

 半年間学んできたファシリテーションスキルを活かした会議を行ったことでの皆の反応は、皆も同じ講義を受けてきたので、より楽しみながら会議を進めることができたように思います。また、今まで学んできたことが実際の会議の場で使えたことに対しての喜びを、会議に参加したメンバー全員で共有することができました。

 私はこの体験を通じて、会議におけるファシリテーターの役割がどれほど重要であるかをひしひしと感じました。また、ファシリテーターの持つファシリテーションスキルによって、会議の進行度が大きく変わることもよくわかりました。


不適合製品発生時に品質保証にかかる時間を減らす話し合いに活用しました

 私は文学特論の授業で学んだファシリテーションスキルを、インターンシップで活かしました。私の行ったインターンシップ先の企業では製品の製造ラインにおける不適合製品発生時に品質保証にかかる時間を減らすためのコンベヤの停止改作を行いました。この停止改作を行うに当たってRG-PDCAサイクルについて学び、このRG-PDCAサイクルに則り改作を進めて行きました。これを実施する中のR(Research)、「現状を調査」、G(Goal)、「目標を明確にする」を行う際にファシリテーションスキルを活かすことができました。ペイオフマトリクスを用いてGoalの設定を行いました。実際に使用した。たくさんのアイディアを出していったなかから、インターンシップ内で行える策を決定しました。



 今回実施した改作を決定する際に必要な条件としては、「インターンシップの期間内(三日間)で実施できる」という条件を実施が容易である条件として考え実施した。


 初めに実際に現状をリサーチするために工場内に入り、現状の問題点を考え、実際になにを改作すべきなのかを調査した。今回実施した内容では不適合製品発生時に品質保証にかかる時間を減らすことを目的としているため、実施する内容はコンベアで運ばれてきた製品を倉庫に送る際に揚重機で工場上部にあげる手前で一時停止させることに決定した。この目標を達成するためにプログラムの改作を行った。


 品質保証にかかる時間を確保する際になにをすればよいのかを決定する際マトリクスを用いた。結果、社員の人の出した意見に決定した。


 今回この改作をインターンシップ内で実施する際に行ってみた結果、決定を簡単に行うことができた。しかし結果的に意見が通ったのは社員の意見でした。これは実際に働いている人は現場の状況を知り尽くしているため、やはり良い意見を出せるのだと感じました。


 まわりの人達はふつうに意見を出してくれていたのでとくに反応はありませんでした。しかし意見はしっかりでたのでよかったです。


 個人的な感想としては実際話し合いはうまく話すことができてよかったです。話し合いはスムーズにできてよかったのだが、全員が同じくらい知識を保有した状態で話し合いを行うべきだと感じました。ファシリテーションスキルはしっかりと発揮することができてよかったとおもいます。



 実際に次のマトリクスを使って内容を決定しました。改作はなかなかうまくできたのでよかったです。


閉塞した話し合いを打開し、多くの意見を引き出す方法を得ました

ファシリテーションスキルの活用
―意見を引き出す工夫―


 わたしは、この半年間のエンジニアリングファシリテーションスキルを磨く授業では、主に意見を書き出すグラフィッカーの役目を務めることが多かったように思います。回数を重ねるごとに、手際もよくなっていき、意見を引き出す書き方や、振る舞いを得ることができました。最初は、活発に意見が出たわけではありませんでした。でも、グラフィッカーが少しだけ工夫や努力することで成果のない会議は解消すると思います。それは、以下の図.1の要領です。



図.1


 グラフィッカーの仕事は大きく分けて、本題を書き出す、意見を書き出す、まとめを書き出す、の3つでした。話し合いにおけるグラフィッカーの利点は、意見を全て聞きながら、辺りを見渡せることです。この利点を最大限に生かせるのは、図.1の要領でした。ただ書くだけではなく、自分も最大限話し合いに参加することが大切です。

 意見を書き出し、まとめているグラフィッカーは、実は一番意見を出しやすい立場だということに気づきました。また、立っているため、話し合いの様子がよくわかります。行き詰ってしまっている場面や、閉塞した状況で積極的に意見を出すように工夫すれば、さらに話し合いが活発になります。話し合いが円滑に進む工夫は、ほかにも文字を色分けするということでも実現できます。たとえば、ひとつの題目について、メリットとデメリットが出たなら、それぞれは色分けして近いところに書きます。対照的な2つは、色で分けたほうがわかりやすいですし、近くに書けば比較しやすいのです。話し合いをしている人は、まとまった黒板や資料を見れば、さらに意見を出しやいと思います。また、今まで出なかった斬新なアイデアを思いつくかも知れません。話し合いでは、耳で聞くだけでなく、目で見ることも必要なことだと思います。

 また、話し合いでは、グラフィッカーとファシリテーターのやり取りも重要でした。どういうことなのかというと、この2人が上手くコミュニケーションをとって、話し合いの進度を調整すると、さらに話し合いが円滑に進むのです。限られた時間の中で、班員それぞれの意見を引き出すのは、ファシリテーターだけでは大変なので、協力してグラフィッカーが意見を上手くまとめることが大切です。

 上記のように、少し工夫したら、閉塞した話し合いでもだんだん活発に意見が出るようになりました。話し合いが退屈であるとか、面倒であるといった思いは、みんな同じですが、社会に出れば、多くの話し合いに参加しなくてはなりません。だから、今のうちにたくさん練習できて、よたったです。特にわたしは、何回もグラフィッカーをやって、閉塞した話し合いの打開方法、多くの意見を引き出す工夫を半年で得ることができました。だんだん書き出すのが上手くなるにつれて、班員が褒めてくれたのがうれしかったです。次へのやる気につながりました。4年生では、練習できるうちにファシリテーションスキルをしっかりと身につけて、重要な議題の会議で使えるようにしたいです。相手の意見を引き出すことや、会議を円滑に進めるのは、慣れていないと、とても難しいことだと思います。わたしは、色々な場面でも柔軟に対応して、少しでも会議に貢献できればよいと思います。

寮祭での出店内容決めるとき全員が納得できる結論を出せました

 私が文学特論で習ったことを活かせた場、それは寮でのミーティングだ。特に重宝したのは、寮祭での出店内容を決めたときだった。

 まず、祭りなどの出店で思い浮かぶもの、もしくは自分が出店してみたいと思うものを各々挙げた。その結果、「かき氷」「フランクフルト」「たこ焼き」「フライドポテト」「りんご飴」「唐揚げ」の6個のメニューが挙がった。

 次に、意思決定マトリクス法で挙がった6種の評価を行った。評価基準は「コスト」「調理難易度」「必要器具」「保存面」「他とかぶらない」「許可が降りる」の6点だった。結果は次の図のようになった。



 まずこの結果から、「(火を通していないものは)そもそもの許可が降りない」ということでかき氷が除かれた。また、りんご飴も×が多く、作った経験がある者もいなかったので除かれた。

 ここからペイオフマトリクス法でメニューの絞込みを行った。軸は「売上が期待できる」「(調理面、コスト面を含めた)実現可能性」でとった。結果は次のようになった。



 この結果、メニューはフランクフルトに決定した。お祭りなどの出店の定番と言えるフランクフルト、唐揚げ、たこ焼きの中でフランクフルトに軍配が挙がった理由として以下のことが挙げられる。まず唐揚げは意思決定マトリクス法の際にも上がったが、毎年寮祭での出品が多く見られ他の出店と内容が被り売上が期待できないと考えられた。次にたこ焼きはたこ焼き器など特別な器具が必要という点から実現可能性が低いと判断された。前者2つに対してフランクフルトは特別に必要な器具がなく、出店されている頻度が少ない。

 ただのフランクフルトではインパクトに欠けるということで、さらに付け加える要素の検討が行われた。これには「大きいものにする」「インパクトのある色にする」「味つけを変える(調味料の追加など)」などが挙げられた。これらについても先ほどと同様に意思決定マトリクス法を用いて評価を行った。その結果、「大きいものにする」が採用された。


感想

 これらの手法を用いたことで、スムーズに話し合いを行うことができたと思う。最初はみんな自分がやりたいと思っていたものを推していたが、論理的な評価を行うことによって、最終的には全員が納得するかたちで結論に至ることができた。やはり論理的に評価が行われると、自分だけでは狭い視野で見てしまい、見落としがちな他人の意見の良い点、自分の意見の間違っている点、を見つめることができてよいと思った。

 また、詳細を覚えていなかったので省いたが、話し合いの前に、授業と同様にルールを定めていた。そのため、意見が言いやすい場が整えられていたと思う。特に、行わないこととして、「意見の否定を行わない」が入っていたのが大きかったのではないだろうか。自分自身も意見が言いやすかったと感じた。途中からは活発に意見がでていたので、おそらく全員が意見を言いやすいと感じていただろう。今まで行った話し合いの中でも特に満足度の高い話し合いを行うことができた。

 結果として、出店は成功することができたし階でのよい思い出を作ることができた。様々な手法を習ってよかったと思う。このときは使わなかったが、機会があれば今度はシールアンケート法やメリット・デメリット法も使いたいと思った。これからもこれらの手法を用いて、内容が濃く、雰囲気が良い、そしてなにより満足度の高い話し合いを目指していきたいし、行っていきたいと感じた。また、文学特論は通年なのでこれから先もまだまだ多くの手法などが学べる。これらのチャンスを活かして自分自身の話し合いのスキルに磨きをかけ、円滑な人間関係の形成に役立てていきたいと思う。

ロボコン部で、皆の意見を反映させた戦略を円滑に決めることができました

私は、クラブ活動でのアイデアだしで、ファシリテーションスキルを活用しました。私は、ロボコン部に在籍しており毎年変わるルールに応じて、戦略をみんなで話し合って決めます。その話し合いにおいて、授業で習ったファシリテーションスキルを生かすことによって話し合いを円滑、かつみんなの意見を反映させることができました。


今回のルールでは、ボールを正確に何発も飛ばす必要があります。そこで、ボールを飛ばす方式について、意思決定マトリクスを用いて決定しました。



話し合いのプロセス



Figure 1 話し合いのプロセス


今回の話し合いでは、ボールを正確に飛ばすということを目的に話し合いを行いました。


ここで、考えられる方式として
・ ピッチングマシンを使う方法
・ 空気圧を使う方法
・ 投石器を使う方法
・ ゴムの力で飛ばす方法
・ 高いところから転がり落とすことによってボールを飛ばす方法
の5つが挙げられました。ここから、どの方式で作るかを決めるため、意思決定マトリクスを用いて話し合いを行いました。



実際に用いた意思決定マトリクス


部活での話し合いでは、発射機構の条件を
・ 精度
・ 信頼性
・ 重さ
・ 連射性能
・ 実現性
・ メンテナンス性
とし、1(最低)~5(最高)までの5段階で評価しました。

しかし、今までに滑り台以外作ったことがなかったため、精度は判断できず保留としました。

その結果、ピッチングマシンがよいという結論に至りました。



Figure 2 意思決定マトリクス


今までの話し合いでは、上級生が一方的に決めてしまうことが多かったが、今回は、授業で行ったファシリテーションを生かすことで、普段意見があまり出ない1年生の意見も反映させることができました。また、いつも多数決によって決めていたので、少数派の意見が反映できないことが多くやる気が出なかったりしたのですが、話し合いによってしっかりと意見をまとめることができました。


私は、ファシリテーションのスキルを生かすことで、結果的にチームの人たちがやる気を持って取り組めるアイデアが絞り込めたのではないかと思います。安易に多数決によって決めることが以前は多かったのですが、話し合いや、科学的な根拠によって意見をまとめる大切さが感じられました。

進まなかった話し合いが急速に進み全員納得する結果が出ました

1. 活用した日時、場所

・日時…6月22日~24日

・場所…三重県いなべ市



2. 活用した状況、詳細説明

 6月22日~24日に三重県いなべ市で、第2回小水力発電コンテストの合宿が行われた。小水力発電コンテストとは、地域にある河川や用水路などを用いて発電する小水力発電機を各高専で製作し、東海・北陸の9高専で競うものである。そして、この合宿では設置候補地を見て回り、設置場所を決定することを目的とした合宿である。

 23日の夜、4つの候補地の中から1つ決める話し合いをしていたが、それぞれに良いところがあったため、意見が分かれてしまい話し合いが進まなかった時にファシリテーションスキルを活用した。まず、今日1日の感想を言う簡単なアイスブレイクを行った。その後、小水力発電機を設置する場所を決定するのに必要な項目を挙げてもらい、重み付けをした後、意思決定マトリクスを用いて、候補地を決定した。

 話し合いをファシリテーションに変えたことで、意見がまとまっただけでなく、意見が言えていなかった人も意見が言えるようになった。



3. 感じたこと

 ファシリテーションスキルを用いることで、ビデオのように話し合いが急速に進むようになることを体験することができた。また、全員が意見を言うようになり、全員が納得して候補地を決めることができた。1年間小水力発電を行っていくにあたって、全員が納得して候補地を決められたことは、モチベーションを保つことにもつながり、より素晴らしい製品を作り出すことにつながるので、良かったと思う。

 この体験は、社会に出たときにもつながると思う。企画を行う際にファシリテーションスキルを活用することで、より良い製品の開発につなげられると思う。また、ファシリテーションを行うことの良さが体験できたので、様々な場面でファシリテーションを活用していきたいと思った。


・進行順




・意思決定マトリクス

大石加奈子

東北工業大学ライフデザイン学部
経営コミュニケーション学科
教授
東北大学大学院工学研究科   特任教授

大石加奈子

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